醸造所の建物

外観ベアレン醸造所の建物は古いレンガ工場を改装して使います。今回はこの改装に当たってどのように醸造所のレイアウトを作ったかをご紹介したいと思います。

この建物(右写真)は約30年前に造られ、レンガや瓦を製造する工場として使われていました。鉄骨作りの2階建ての建物ですが、醸造所に改造するにあたっていくつかのポイントを考えました。1.改装費が安く済むこと 2.機能的にすぐれていること(特に衛生管理面)3.なるべく見た目もよくする ということです。

建物そのものは、骨組みだけのがらんどうの建物でしたのでレイアウトはわりと自由に造ることができました。これは後から気が付いたついたのですが、総床面積が1000uを超えると消防の規制が厳しくなるので、すべて使わずにもとの建物の約3/2ほどのを使い、残りは解体する事にしました。

まず最初に考えたのは@仕込釜の場所です。これは一番大きな設備ということもありますが、何と言ってもビール醸造所の「顔」でもありますので一番正面の目立つところにおきたいというのがありました。そこで付近を通る国道から真正面に見える位置に仕込釜をおくことにして、道行く人たちにビール醸造所のシンボルである仕込釜の存在をアピールできるようにしました。

次に考えたのはA売店の位置です。これも来ていただいた方に分かりやすくするため正面の仕込み釜の隣におくことにしました。さらに売店の2階を展示室にして、仕込釜を間近で見られるように考えました。

こうなると後は、醸造の設備をどう置くかということになりますが、醸造は、仕込み〜発酵〜貯蔵〜瓶詰めという工程で行われまのでこの順番に考えることにしました。

図面1仕込釜で作られた麦汁は、冷却されて発酵タンクへと運びます。そこで仕込釜の後ろの2階部分に麦汁を冷却するためのBクールシップをおきました。(このクールシップというものは、現在ではめったにつかわれていないめずらしい醸造設備ですが、詳しくは別の機会で説明します。)さらにその後ろにC発酵タンクをおきます。発酵タンクを2階に置くのはこのあとポンプを使わずに重力で下の階貯蔵タンクに送るのに都合が良いからです。また発酵の工程は特に衛生管理に気を使うため入り口はすべて2重にしています。

1階にはD貯蔵タンクのための部屋があります。発酵のタンクに比べてずいぶん数が多いと思われるかともいますが、品種によっては一ヶ月以上も熟成させるためこの本数が必要となります。この貯蔵タンク室は0℃程度に冷やしておく必要があり、断熱のため建物の中央付近にもってきています。

図面2最後の工程のEびん充填ですが、ここも衛生上非常に気を使いところですので外部との出入りはすべて2重の入り口を通ることになります。充填室がわりに広いのにお気づきになるかと思いますが、実際の作業時には充填した製品や包装用の資材などを置かなくてはいけないことを考えると、広いスペースをとっておいたほうが整理整頓しやすいため、衛生管理上なるべく広いスペースを取れるよう考えました。

最後にこの建物が完成すると外装はレンガ造りの建物となります。現在の写真からは想像がつきにくいと思いますが、ヨーロッパの古い醸造所をイメージしてつくる計画です。

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Presented by 株式会社 ベアレン醸造所 2007年05月20日更新
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