商標登録

スターバックス社長のオーリン・スミス氏のインタービュー記事が新聞に載っていた。スターバックスは今年、もっとも価値を高めたブランドになったが、その事について彼はこう述べていた。「当社のブランド価値は32%増え、約17億6千万ドルに達しました。株式時価総額が約69億ドルなので四分の一がブランド価値です。」

ブランド価値とは企業のもっとも大切にする財産の一つだと思っているが、ここまで明確に認識している記事を読んで私は驚いた。ここまできちんと認識しているからこそ、これだけの価値を生み出せてきたのだとも思った。ちなみにこの米経済誌ビジネスウィーク誌によるブランド価値ランキングでは、1位がコカコーラ、日本ではトヨタの14位が最高だった。

この企業が大切にするブランド、それを保護しているのが商標権で日本では特許庁が商標法によって管理している。ブランドと一言で言っても、色んな業界があるし類似をどこで見るかというややこしい問題もある。例えば少々古いが、「レジェンド」という名前は車にも焼酎にもついている。大きな企業では知的財産部などという部署があって、専門に行っている業務だ。私も今までは人任せで良かった商標についての問題も、独立とともに自分でこなしては行かなくなり一からの勉強となった。もしかしたら、どなたにでも行う可能性のあることなので、ここでは誰でもできる商標登録のやり方を私たちが行った手順を元にご紹介したい。

商標出願の手引き

商標、特許などを専門的に扱う資格を持った「弁理士」という方がいるが、この方に商標登録を代理で頼むと一商標50万円かかるなどという話しも聞く。こんな余裕は私どもにはないので、自分らで調べてやる事にした。
まず、特許庁編で発明協会が発行している「商標出願の手引き」という本が大変参考になるという情報を知って早速この本を購入した。この本を読むと懇切丁寧に商標登録の方法が書いてある。(→写真)

これによると商標登録には書面による手続きと、オンラインによる手続きがあるがオンラインによる手続きは事前の登録など時間がかかり、書面の方が簡単なのでこちらが良いと発明協会の方に勧められ、書面による手続きを取った。
手引きの中で、発明協会というのが全国に支部を持ち、商標、特許などの相談を無料で受け付けているというので私は大いにこれを活用する事にした。

発明協会

発明協会の岩手支部は、盛岡の郊外の岩手県工業技術センターの中にあるが、始めていく時は緊張した。皆さんはどう思われるだろうか、私は発明協会という言葉に発明などを始終考えている変人集団的なイメージを持ったのだが、行ってみるときれいな女性が出迎えてくれて事務的に処理してくれる。発明気違いの変なおじさんもいない。ほっと一安心して、まず無料相談会があるというのでそれを予約して、さらに特許庁のホームページで登録商標の調査ができる事を聞き発明協会の端末で少々調べさせてもらった。

この特許庁のホームページが優れもので、商標から特許関連までデータベースがぎっしり詰まっている。「キリンは大正11年に商標登録になっているのか」などと個人的な興味ではまってしまったりしたが、目的の商標がすでに登録されたものであるかどうか調べる事ができる。私は当社のブランド「ベアレン」がすでに登録されていないか縦横斜めから検索して、他にはない事を確認してほっと一安心した。皆さんもこれはと思う商標があったら、調べてみてはどうだろう。下記の特許庁のホームページの中の特許電子図書館というところで検索できる。ただし、画面が少々重いので回線状態の悪い人にはお勧めできない。

特許庁ホームページ・・・→ http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

またこの際に大切なのは、商標には登録する分類があるという事だ。国際法に合わせて区分が1から42までに分かれている。使う区分が複数にわたれば、それぞれにおいて登録する必要がある。
私たちが該当するビールは32類に該当し、清涼飲料、果実飲料などと同じ分類で日本酒、洋酒、果実酒などが該当する33類とは別の区分になっている。国際的に作られている分類という事なので、ビールは世界的に見るとワインやウイスキーよりジュースに近いという事になるようだ。欧米人を見るとなるほどとうなずかざるをえない。

私たちは同一商標や類似商標がないかよく調べた上で、無料発明相談会で弁理士さんに細かなことを相談して、いよいよ登録の手続きを取った。私の以前勤めていた会社のAさんにも多くのアドバイスをいただいた。この場を借りて感謝申し上げたい。

出願

商標商標出願は、書面によって行ったが、記載方法は手引きに細かく書いてあるのでそれに従った。ラベルに使っているマークとベアレンという言葉の両方を登録したが、この出願費用は一商標一区分につき21000円かかる。予納する方法もあるようだが、そう何回も出願しない当社にとっては必要なく特許印紙を出願書類に貼って特許庁長官宛てに郵送した。(→写真は発送前にコンビニでコピーを取っているところ)

後はひたすら待つだけ。やがて電子化手数料の請求が来て(書面で手続きを行ったもののみ、一件1200円+一枚700円かかる)、それを支払うとやがて出願番号の通知がやってくる。そして審査され、公開されて問題がなければ商標として登録される。一年近くかかる作業らしい。今はその過程にある。

しかし、一つ失敗をしてしまった。商標出願人は本人の意思により手続きされたものである事を明らかにするために識別ラベル(特許庁より交付される)または印を押す必要があるが、これを忘れてしまった。後から特許庁から連絡が来て、手続補正書なる書類を出さなくてはならなくなった。

かかった費用

最後に、私どもの商標登録にかかった費用をまとめるとこうなる。
商標登録の手引き・・・900円
商標出願費用・・・・・21000円×2
書留送料・・・・・・・470円
電子化手数料・・・・・1900円×2
合計・・・・・・・・・47170円
マークとブランドの二つを出願したので、ブランドのみであれば3万円以下で出願する事ができる。これが登録になれば、10年分の登録料が66000円かかる。

複雑な特許などの出願には専門家の手助けが必要だろうが、このように単純な商標出願は一般の人でも充分できると感じた。自分でできるではないか、と力を得た作業でもあった。

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Presented by 株式会社 ベアレン醸造所 2007年05月20日更新
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