会議

ある新聞社の取材中、記者の方に「今までで一番大変だったことはなんですか?」とたずねられた。
私(シマダ)とキムラで対応していたが、二人顔を見合わせてしまい、正直返答に困った。

「いや、大変だったと言っても・・・強いて言えば免許申請は大変だったかなあ・・・」
しかし、どうも大変という言葉とは違うような気がする。
「ま、好きでやっている事ですし、それほど大変だと感じた事はありません。それに、本当に大変なのはこれからですし。」

そう答えてから、キムラが「あえて言うのなら、英語かな?」と言った。
そうだった、これには苦労している。

ミーティング私たち3人の共通の言葉は英語という事になっている。ちなみに各人の語学力は私の判断では以下の通り。

キムラ・・・ドイツ語×、英語ほぼ○(特にヒアリングは問題無し)、日本語◎
イヴォ・・・ドイツ語◎、英語◎、日本語ほとんど×(数字、挨拶+α程度)
シマダ・・・ドイツ語×、英語△(トークに難)、日本語◎

ということで、最大公約数を取って会話は英語という事になる。隔週で定例の会議を行い軽いミーティングは随時毎日のように行っているが、ついつい日本語で話してしまう。すると、後からたどたどしく英語でイヴォに説明する。
イヴォがぺらぺらと英語で話していると、つい聞き入ってしまう。私はわからない事があると、キムラに「○○って?」とか「今の△△ってこと?」とか確認しながら聞く。

このような感じなので、必然的に時間がかかってしまう。日常の会話はできても、英語でディスカッションするというのは本当に大変な事だ。

「やあ!今日も寒いな。子供の風邪の具合はどう?発泡酒の増税どうなるかな?」
なんていうのはそれほど苦労しないが、

「まず今の私たちにとってはブランドの構築が大切で、それを第一番に考えていくべきだ。
ブランドの構築は、販促品や値引きによってなされるものではなく、あくまでブランドネームの浸透、それもどのような価値観で消費者がそのブランドを認知するかが大切であって・・・」
あくまで例えばの話だが、このような会話にはとても苦労する訳である。
しかもディスカッションとなると、二の句が継げなくなってくる。

しかも、皆、思い入れが強いというか、我が強いというか、なかなか引かない。結論が持ち越される事もたびたびだが、いつかは全員のコンセンサスを取って行かなくてはならない。一度は多数決になってしまった事があって、私の案が通ったが後味の悪い思いをした。

最近は、議論が白熱して大きな声が出る事もたびたびだが、正直なところ私は気分が沈む事もある。新たなものを作っていく作業は楽しく、わくわくするものだが、そう楽しい事ばかりでもない。それぞれ違った環境で生きてきた人間を(しかもそれなりに経験を積んで、価値観を構成してきた人間を)、一つの形にまとめていかなくてはならないのだ。

飲み友達でいれば、こんな議論をすることもなく、相手の良いところだけを見てつき会っていけたものを・・・と思う事もあるが、それは消極的な意見だろう。もっともっと議論を重ねて、よりよい形を作り出していかなくてはならない。そのためには言葉はとても大切なものだ。

そして、今日も英語との苦闘が続く・・・

※写真は会議ならぬ、テイスティングをしているところ。少々前のものです。一杯入ったほうが、話も弾みます。

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Presented by 株式会社 ベアレン醸造所 2007年05月20日更新
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